VLOOKUP関数とINDEX/MATCH関数の違いと使い分け
両者は似たような目的で使われますが、構造や柔軟性に違いがあり、使い分けを正しく理解することでより効率的にデータ処理ができるようになります。
本記事では、それぞれの関数の特徴、違い、そして実務における使い分けのポイントを詳しく解説します。
VLOOKUP関数の特徴と制限
=VLOOKUP(検索キー, 範囲, 列番号, [検索方法])
使いやすく直感的なため、初心者にも人気ですが、以下のような制限があります。
- ・検索列より左側のデータを取得できない
- ・列の削除や追加に弱く、数式が壊れやすい
- ・検索列が左端でなければならない
INDEX/MATCH関数の柔軟性
=INDEX(戻り値範囲, MATCH(検索キー, 検索範囲, 0))
このように組み合わせることで、検索キーがどの列にあっても、左右どちらの方向にもデータを抽出することができます。
左右逆の検索にも対応可能
例えば、商品名から商品番号を取得するケースで、商品名が右側、商品番号が左側にある場合、VLOOKUPでは検索できませんが、INDEX/MATCHでは以下のように可能です。
=INDEX(A2:A10, MATCH("みかん", B2:B10, 0))
このように戻したい列(A列)と検索する列(B列)を独立して指定できるため、表の構造に柔軟に対応できます。
列の構造が変わっても壊れない
VLOOKUPでは、列番号を直接指定するため、列の追加・削除によって数式が壊れることがあります。
一方、INDEX/MATCHでは列名や範囲を直接指定するため、構造が変わっても対応しやすいというメリットがあります。
・C列が削除されると壊れる
=VLOOKUP("みかん", A2:C10, 2, FALSE)
・範囲が保たれていれば壊れない
=INDEX(B2:B10, MATCH("みかん", A2:A10, 0))
パフォーマンスの違い
大量データを扱う場合、INDEX/MATCHのほうが処理速度が速い場合もあります。
VLOOKUPは範囲全体を読み込みつつ、左端から列番号を探していくため、検索量が増えると若干の遅延が生じます。
対して、INDEXとMATCHは必要な範囲だけを参照するため、軽量な処理が可能です。
使い分けのポイント
-
用途:簡単な検索・表が固定
おすすめ関数:VLOOKUP
理由:構文がシンプルで直感的 -
用途:左側のデータを取得
おすすめ関数:INDEX/MATCH
理由:VLOOKUPでは取得できない -
用途:表構造が変更される可能性がある
おすすめ関数:INDEX/MATCH
理由:列番号を使わないため壊れにくい -
用途:高速処理が求められる
おすすめ関数:INDEX/MATCH
理由:効率的に検索できる
まとめ:使い分けを理解して、関数を正しく選ぶ
VLOOKUP関数はシンプルで使いやすい一方、柔軟性や将来的な保守性には限界があります。
INDEXとMATCHを組み合わせることで、左右の検索、構造変更への対応、大量データへの強さなど、より高度な処理が可能です。
状況に応じて関数を使い分けることで、より安定したシート運用が実現できます。
関連する関数
VLOOKUP関数:表を縦方向に検索して、条件に一致した値を返す
INDEX関数:行列を指定して特定のセルを取得
MATCH関数:指定した要素が何番目にあるかを検索